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税務調査官の勘

  • 公開日:2015/02/13
  • 最終更新日:2015/03/27

税務調査官 勘

税務調査官は昔、職人的な勘を持ち合わせる調査官が多くいました。調査先とうまく立ち回る調査官、感情的に煽る調査官、ねちねちと細かいことについて質問を続ける調査官、それぞれの経験や考えで、キャリアを積み重ねて自分なりの調査手法を築いていたのです。

今回は、先輩方の「調査官の勘」ともいうべきお話を紹介します。

調査官の勘①:お金の隠し場所

とある特殊な商売をされている個人事業者のところへ税務調査へ訪問した際のお話です。

この個人事業者は、もともと高額の所得金額があり所得税なども高額となっていました。先輩調査官は、個人事業主と仕事の話からプライベートに至るまでいろいろな話をしていましたが、ふと、1枚の請求書控に目が留まりました。その請求書控は、書き損じをしたらしく大きく×印がしてあったのです。事業主によると、請求書控に×印がしてあるものは、書き間違えたなどにより相手に渡していないとのことでした。

しかし、先輩調査官はなぜか腑に落ちないと思われたそうです。

そこで、現在の現金の残高を確認させてほしいとお願いしたところ、「どうぞ、どうぞ」と押入れの中に置かれた小型業務用の金庫に案内をされたのです。中に入っていたお金と現金出納帳などの帳簿書類と照合したところ問題はありませんでした。

しかし、先輩調査官はまだ腑に落ちない様子でした。一旦、その日は切り上げて税務署へ戻るのですが、改めて、後日に訪問をしました。面倒な顔をする相手に協力を求めて、また金庫のお金を確認をしました。しかし、問題はありません。

先輩調査官は、ずっと金庫を見ていましたが急に金庫の横に並んでいた座布団をどけ始めました。すると、金庫の裏に紙袋があることを見つけました。中身は何かと尋ねても、事業主は、「分からない」の一点張りでした。先輩調査官は、了解をもらって紙袋を引っ張り出したところ、なんと輪ゴムでまとめた、多くの札束が出てきたのでした。○千万円というお金が、紙袋から出てきたときはさすがに先輩調査官も面食らった様子でした。

このお金がどういうものかを質問したところ、売上を除外したものであることを認めるに至ったのでした。事業主は、現金で受け取った売上金の一部を請求書を間違えたことにして×印をしていたのです。実際に、書き損じたものもあったそうですが、先輩調査官は、請求書控の綴りに不自然さを感じた際に、「(売上除外を)やっているな」と思ったそうです。

調査官の勘②:複数の帳簿

とある洋服屋さんへ税務調査に入った時のお話です。

先輩調査官は、一通り仕入れから売上や現金管理の話を聞きました。その後、実際に売上管理や帳面整理をしている奥まった小部屋に行き、帳簿類を見ていました。その帳簿は売上金額が大学ノートの端に、手書きで日付と売上金額について記入されていました。

ノートを開くと、両端に金額が記録されていて真ん中あたりは空白という状態です。あまり一般的でないその記帳の仕方を店主に質問をしても、その方が書きやすいからというだけでした。先輩調査官は、納得できずそのことを気に留めていました。店主は、「問題ないですよ」と言いながらニコニコしていたそうです。先輩調査官は、小部屋を見渡しているうちに大学ノートが何冊か無造作に棚の上にあったのを見つけました。

了解をもらって見ようとしたところ、店主が抵抗してきたのです。
「見せてほしい」「ダメだ!見せられない」
「なぜ、見てはいけないのか」「プライベートなことだからだ」
などと、やりとりしていたのですが先輩調査官に説得され渋々見せてくれたのでした。

しかし、先輩調査官は見て驚きます。同じ年度の表示がされた「売上帳」が、さらに2冊でてきたからです。最初に、先輩調査官が確認した売上帳をAとすると、BとCという売上帳があったのです。中を確認すると、また両端に金額のみが記入されていました。

これは、どういうことかと尋ねたところ例えば1月のページを開き重ね合わせると金額が揃っていません。集計された金額を見ると、Aには決算書に記載された金額が記入されておりBにはAよりも少し大きな金額、CにはBよりも大きな金額が記入されていました。

これは、どういうものかと店主に尋ねると次のような返事がありました。Cが実際の売上金額を記録したもの。Bは一部を売上除外した金額を記入して奥様に見せていたもの。Aは、さらに売上を減らして申告をするためのもの。

「実際の売上帳と税務署用の売上帳というものは見つけたことがある」という先輩調査官も奥様用というものがあるのは初めてだと言っていました。記入の方法が不自然であることに違和感が消えなかったから、何かあるのではないかと考えた結果でした。

まとめ

このような話は、当然ですが頻繁に出くわすものではありません。しかし、「こいつは何かやっているのでは?」という勘みたいなものは特にベテランの調査官はもっているようでした。調査の際、ペラペラしゃべる調査官よりも黙って周囲を見渡し、首をひねる調査官がいたら、勘が働く調査官かもしれません。

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